手術後2〜3週でインプラントと
骨の固定は一時的に緩む
手術後2〜3週目は骨とインプラントとの固定が緩む時期なので、もっとも注意しなければなりません。
インプラントの固定には機械的な固定(一次固定)と骨結合による固定(二次固定)があります。
手術時は、インプラントを骨にねじ止めの要領で固定します(一次固定)。しかし、手術後ずっとネジが締まっているわけではありません。術後3週間後には、インプラント周囲の骨が吸収し弛んできます。そこから骨の再生(オッセオインテグレーション)が始まり骨とインプラントが一体化していきます。
ねじ止めの機械的な結合は、術後徐々に緩んでいきます。3週間後は、一次固定(ねじ止め)と二次固定(おっせオインテグレーション)が入れ替わる時期なのです。この時期はインプラントが緩んでいますので最も注意が必要です。
歯茎が治ってきているためか、この3週間前後の時期に硬いものを食べ始める患者様が多くみられます。硬いものを食べると仮歯が破折したりインプラントに過剰な力がかかってしまうことにより、獲得しはじめた骨結合が失われインプラントが脱落してしまうことがあるのです。
食事に関する注意事項、ナイトガードの使用など歯科医の指示をしっかり守りましょう。
All on 4は手術直後に固定式の仮歯が入るので、その日の夜からすぐに食事ができるようになります。ただし手術当日から約1ヶ月半の間の食事はあまり噛まなくても済む軟らかい食べ物を選んで下さい。
スルメやフランスパンのような硬い物は厳禁です。
噛み合わせの加減が分からずに強く噛んでしまうと、仮歯が割れてしまうことがあるので注意して下さい。仮歯の破折はインプラント脱落の原因になります。
ガムも仮歯にくっつくので避けてください。
仮歯に強い力がかからないようにする
手術当日に入る仮歯の最大の目的は「インプラントを強固に固定する」ことです。
この仮歯は強度がそこまで高くはないため、強い力がかかると仮歯が破損したり摩耗により噛み合わせがずれたりすることがあります。それによりインプラントに過剰な力がかかりインプラントの脱落につながります。
初期の仮歯ではなるべく硬いものは避け、また強い力で噛まないよう注意してください。
手術後に歯磨きをし過ぎる方がいらっしゃいます。
手術後に傷口を歯ブラシの先で傷付けると治癒が遅れてしまいます。術後1週間は傷口のブラッシングは避けてください。
正確な手術が行われていますので、1週目にクリニックで消毒するだけで十分です。ただし、手術部以外を歯磨きするのはかまいません。1週目以降は専用の軟らかい歯ブラシをお渡ししますのでそれを使って下さい。
All on 4手術に限らず、外科手術を受けた日は熱いお風呂に入るのは控えましょう。血行が良くなって出血したり、腫れがひどくなる可能性があります。
軽めのシャワー程度は問題ありません。
うがいは処方されたうがい薬で指示どおりに行います。
しかし手術直後にうがいを頻繁にしすぎるといつまでも血が止まらなかったり、治癒を遅らせる原因になることもあります。
クロルヘキシジンを含むうがい薬は手術直後から抜糸がすむまでは使わないようにして下さい。日本人でのみ起きている事例ですが、傷のある状態でクロルヘキシジンを使ってアレルギー反応を起こした例があるため注意が必要です。
お酒はできれば抜糸まで2週間程度は控えてください。
骨結合を獲得するまでの2ヶ月間は深酒を避けましょう。
術後は感染予防のための抗生物質や痛み止めなどが処方されます。患者様の良好な治癒経過のため、処方されたお薬は必ず決められた用法・用量を守って服用するようにして下さい。
腫れがあったり熱っぽく感じたりするときは、口のまわりの皮膚を濡れタオルなどで冷やしてください。とくに、手術当日の夜に十分に冷やすことでその後の腫れを抑制することができます。
ただし、冷たくしすぎると血液の循環障害を防止するため、氷などを直接皮膚に付けないようにして下さい。
冷やしすぎると「しこり」が残る場合があります。
腫れは続く場合もありますが、普通は2~3日後がピークで、長くても1週間ほどで良くなります。
All on 4は手術範囲が広く周囲に内出血を伴う場合があります。
その結果として手術部位周囲に広範囲の痣が出ることがあります。
異常出血や細菌感染などの悪い兆候ではありませんのでまずはご安心ください。
この痣は術後2週間ほどで消退します。
タバコは治癒の遅れやインプラント手術失敗の原因になります。これを機会にやめて頂くことをお勧めします。
急な変化が起きた時に、旅先の歯科医院では対応できない可能性があります。インプラントが安定するまで3ヶ月間は旅行は控えましょう。
手術当日は体力が消耗しており、また静脈内鎮静法の薬剤の影響が残っている可能性もあるため、ご自身での車や自転車の運転は絶対にやめてください。
可能であれば徒歩での移動も控えましょう。